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22 ◇私たちは家族

Author: 設樂理沙
last update Last Updated: 2026-01-02 00:15:45
「昨夜泊まったというか、私たちは家族だから。

 薫《たい》は7年前からずっと私たちとこの家で暮らしてるわ。

 毎晩泊まってる」

 俺は頭が痛くなってきた。

 毎晩泊まってるって何だよそれ。

 問答している俺たちにいつの間にか側にいた由宇の従兄弟である

北嶋薫が、横から口を挟んできた。

「将康さん、すみません。

 俺、由宇子さんと結婚してずっとこの家で暮らしてます。

 あなたの奥さんだったのに、いただいちゃってすみません」

「いただいちゃってって……いただいちゃってって……」

 変な汗が流れてきた。

 頭も気持ちも付いていかない。

 浦島太郎のような気分だ。

 沢山の貯蓄をして妻を驚かせようと……

由宇子を振り向かせようと……

喜ばせようと……

ガムシャラに8年、独りで頑張ってきたというのに。

 何だこれ、この顛末……

有り得ない顛末……

俺は悪い夢でも見せられているようだった。

 「ひどいだろ、こんなやり方。

 ずっと君たちのことを想っていた俺にこんな仕打ち。

 何でこんな酷いことができるんだ」

「あなた、被害者気取りなのね。

 あなたは仕事一筋全力投球も出来たし、いい女《こ》とも

仲良くやれていい想いもしたでしょ?

 被害者面しないでほしいなぁ~

 あなたと女性たちのこと、いろいろ知ってるのよ。

 あなた言い逃れだけは上手かったわよねぇ~?

 私が何も知らないと思ってたかもしれないけど、結構知ってるんだなっ、

これが」

「赴任する前に来た手紙のことならちゃんと説明したろ?」

「あぁ、あれ?

 結局あなた、手紙を寄越したのが誰なのか吐かなかったけどぉ、私には

分かってたのよ?

 差出人がどんな女なのか。

 名前のことだけじゃないわよ?

 どんな性格の女なのかっていうこともね。

 とにかく、私は単身赴任で行ってしまうあなたのことで、頭を悩ませて

暮らすなんて真っ平だったの。

 嫌よそんな生活。

 それに1度妻を裏切るような人間はまたやるのよ。

 実際そうだったわけだし?

 言い逃れはできないわよ。

 証拠あるから。

「何を根拠に知ったかぶりをしているのか知らないが、君の誤解だ。

 俺は誰とも浮気はしていないんだからな」
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